数年前に竣工した 「豊橋住吉の家」 の写真を、追加で購入しました。
改めて見ると、この家の茶室はなかなか緊張感のある空間だなと思います。
初座の懐石のときには天窓を閉めて室内を薄暗く。
客が中立している間に天窓を開け、空間の雰囲気をがらりと変える。
床の間脇の地窓障子を開け、中庭の足元の景色を取り込む。
光の操作には、相当神経を使いました。
細部も同じです。
躙口上の天井にはエアコンを仕込み、
織り上げ部分の壁をルーバー状にして吹き出し口とし、
よしず張り天井の一部のピッチを粗くしてリターンとしています。
あるとき現場で、大工さんに廻り縁の寸法を聞かれました。
頭の中で考えていた寸法をそのまま答えたところ、
「ん?」
と、少しだけ怪訝な顔。
改めてその寸法を頭の中で当てはめてみると、
ずいぶん太い。
慌てて考え直し、今の寸法に落ち着きました。
図面の中では成立していても、
実際の空間ではわずかな違いが空気を変えます。
あのときの大工さんの、ほんの一瞬の違和感。
あれは本当に凄いことだと、今も思います。
茶室は誤魔化しがききません。
水屋も同じです。
亭主の心構えを整える場所。ここを疎かにするわけにはいきません。
大工さんは茶室用の道具を持っていなかったので、
ずいぶん苦労していました。
写真を見ながら、あの現場の緊張感を思い出しています。
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この記事を書いた人
原田 久(建築家/一級建築士)
ディクタ建築事務所 代表
愛知県を拠点に、住宅を中心とした設計を行っています。
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